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【競馬AI #19】Phase 3.5で0%的中率に - 市場効率性仮説から学ぶ


先週の実戦投票結果

前週のPhase 3.5実装からわずか1日。我々は厳しい現実に直面することになった。

投票結果:¥4,500 → ¥0回収(0%的中率)

すべての推奨馬が外れた。単なる「ハズレ」ではなく、モデルの根本的な問題を示唆する失敗である。


推奨馬の特徴分析

失敗した推奨馬を見ると、ある共通点が浮かび上がる。

人気薄馬ばかり

トリアングルレディ(函館)
  推定確率:3.00%
  推定オッズ:130倍
  EV:3.91

アジーザム(函館)
  推定確率:3.10%
  推定オッズ:110倍
  EV:3.42

パーセンタイル(小倉)
  推定確率:4.45%
  推定オッズ:98倍
  EV:4.39

共通パターン:「確率 3~4% × オッズ 100倍以上 = EV 3以上」

これらはすべて、「確率が低い割にはオッズが相対的に高い」という判定で推奨された馬たちだ。つまり、EV計算の構造上、「割安」に見える馬ばかり推奨される傾向があったのである。


市場との乖離

ここで重要な視点を導入しよう:市場効率性仮説

JRAの競馬投票市場は、毎日何千万円も動く。その中で、機関投資家、専門予想家、一般ギャンブラーが参加し、彼らは膨大な情報に基づいてオッズを形成している。

高オッズ(100倍以上)がついている事実は、市場全体で「この馬は勝つ可能性が低い」と評価されたことを意味する。

視点評価
市場評価「この馬は勝たない」(高オッズ)
モデル評価「この馬は3~4%で勝つ(割安)」
実際の結果市場が正しかった(全て外れ)

この結果は、市場が既に「正しく」馬を評価していたことを示唆する。


根本的な問題:EV計算の構造

なぜこんなことになったのか。原因はEV計算の設計にある。

高EVの獲得方法は2つ

方法1:確率が高い
  例:30% × 4倍 = 1.2
  → 人気馬(低オッズ)

方法2:オッズが高い
  例:3% × 130倍 = 3.9
  → 人気薄馬(高オッズ)

モデルは方法2を選びやすい構造になっている。なぜなら、EV = P × O という乗算式では、低確率・高オッズの組み合わせの方が、より大きな数値を生成するからだ。

確率推定の信頼性

しかし、ここに落とし穴がある。「3%の確率」という推定自体が正しいのか、という問題だ。

推定確率 3%の根拠:
  ├─ 馬固有の過去勝率(2022-2025年のデータ)
  ├─ 騎手の勝率
  ├─ 調教師の勝率
  ├─ 馬の属性(年齢、体重等)
  └─ これらから機械学習で計算

実現確率:0%(全て外れ)

4年前のデータから計算した確率が、2026年の個別レースで機能するだろうか?答えは明らかにノーだった。


修正の流れと継続する問題

実は、この問題は前々週から存在していた。

**Phase 3.3(バグ版)**では大穴馬を8%と極度に過大評価していた。これに対して、**Phase 3.4(Classifier修正版)**では確率を2%に抑制し、特徴量も実値化した。

そして今週の**Phase 3.5(過去戦績DB版)**では、馬固有の特徴量を4種類追加し、さらなる改善を目指した。

しかし、結果は変わらなかった。全て人気薄馬で、全て外れた。

これは何を意味するのか。**「修正は表面的だった」ということだ。**EV計算の根本的な構造は変わっていなかったのである。


市場効率性仮説への傾倒

ここで考えるべき仮説がある:効率的市場仮説(EMH)

この仮説によれば、市場で利用可能なすべての情報は既にオッズに反映されている。つまり、高オッズ = 市場が「勝たない」と判断した馬 = 勝つ可能性が低い、ということだ。

もしこの仮説が正しいなら、「高EVの割安な馬」は存在しないはずである。しかし、我々のモデルはそうした馬を探し続けていた。


今後の方向性

この失敗から学ぶべきことは多い。

検討中の改善案

  1. EV計算の根本的な見直し
    • Kelly基準の導入
    • 対数効用関数の検討
    • 市場効率性を組み込んだ補正
  2. 人気薄戦略の放棄
    • 人気馬(1~10倍)に方向転換
    • 的中率向上を優先
    • ROI低下のリスク
  3. 市場効率性の検証
    • オッズと実績勝率の相関分析
    • 過去1年のJRAデータで検証
    • 市場の非効率性の有無を確認
  4. 確率推定精度の向上
    • 古いデータ(2022年)の影響軽減
    • 時間軸の導入(最近30日重視)
    • 馬の年齢による減衰関数

外部相談の開始

現在、専門家(Gemini)への相談を進めている。この失敗をどう解釈すべきか、モデルの根本的な再設計が必要なのか、それとも別のアプローチを検討すべきなのか—これらについて、科学的なアドバイスを求めている。


読者へのメッセージ

「失敗の報告です。申し訳ありません」と言いたいところだが、実はこの失敗こそが、最も価値のある学習機会だと考えている。

我々は、最初の1週間の運の良さ(¥900 → ¥8,400)に浮かれず、その後の連続的な失敗(0%的中率)から真摯に学ぶ義務がある。

単に「モデルの精度が低い」では済まされない。なぜなら、EV計算の設計そのものが根本的に間違っている可能性があるからだ。市場が効率的に機能している中で、「割安な馬」を探すというアプローチそのものが、存在しない概念を追い求めているのかもしれない。

次週は、専門家からのアドバイスを踏まえて、新しい方向性を示したい。


まとめ

項目結果
投票金額¥4,500
回収金額¥0
的中率0%
評価完全な失敗

しかし、この失敗から学べることは計り知れない。モデル開発とは、成功よりも失敗から学ぶプロセスなのだ。

次週の改善策にご期待ください。


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